”自分の”読書感想文

既婚子持ちのIT系OLの本の感想ブログ。自分が感じたことを正直に書く、自分にしか書けない自分の読書感想文。

『八日目の蝉』憎むこと許すこと

 

 

八日目の蝉 (中公文庫)

八日目の蝉 (中公文庫)

 

 

内容

他人の子供を誘拐し、自分の子として育て、逃避行を続けるある女の話。
 
自分がなぜこの本を読もうと思ったか
本屋さんで、アメトーークの読書芸人で紹介された本特集が行われていた。
読書芸人は面白かったし、新しい本欲しいし、この中からえらぼ〜と軽い気持ちで選んだ。
文庫で持ち歩きやすいしね。
 
ネタバレなし感想
前半は誘拐犯の女性が主人公、後半は大人になった誘拐された子供が主人公、という構成。
2人を通して、母と子の関係や、幸せ、生き方を描いた作品と思った。
 
子は親を選べないと言う言葉があるが、特殊な親に育てられた子はどうなってしまうのか。
幸せになるのか、不幸になるのか。
不幸になってしまったら、どう折り合いをつけて生きていくか。
 
幸せな母と子のあり方を求め、2人の女性がもがいていく様がどうなるか気になって、一気読みしてしまった。
 
あと、私はこれ読んでいる時、妊娠5ヶ月目であったので、子供を誘拐する主人公にすごくムカつきました。おま、人の子供に勝手に名前つけてんじゃねーーーぞ!!!
 
ネタバレなし感想難しいですね。
 
続きでネタバレあり感想。
 
 
 
ネタバレあり感想
 
主人公の誘拐犯には最後まで共感できなかった。
後半で誘拐に至った経緯が明かされ、精神的にまいっていたのは分かったが、だからといって共感も同情もなかった。
その経緯も、主人公は可哀想で元の両親はクズだった!だから主人公はかわいそうでしょ!犯行も仕方ないでしょ!と思わせたい感があって少しもやもや。
ただ、主人公のとこでも、元の両親のとこでも、100%の幸せな家庭は築けない、つまりは望めま完璧な幸せなんてない、という事を表しているのかなとも思った。
 
主人公に限らず、この物語の主要登場人物はほとんど共感できなかった。
実親、誘拐された子、主人公が身を寄せた謎のおばさん、エンジェルホームの人々など。
ただ、現実にも100%完璧な人なんていないし、100%共感できる人もいない。
 
本当に、私は、何をも憎みたくなかったんだ。
あの女も、父も、母も、自分自身の過去も。
憎むことは私を楽にはしたが、狭く窮屈な場所に閉じ込めた。
憎めば憎むほど、その場所はどんどん私を圧迫した。
誘拐された子、恵理菜は、そう思い子供を産むことを決意する。
憎むことを止めて、許すことにした彼女は、普通でも幸せとは言いがたい人生を送ってきた恵理菜だけれども、彼女の未来は明るいと思った。
 
私は恵理菜ほど壮絶な人生を歩んではないが、嫌いな人や嫌な事はいくつかあった。
それらを不幸の元凶として憎むより、許し、前を向くのが大切ではないかな、と思った。
 
まとめ
憎むことは難しい、許すことは難しい。
恵里菜とその母たちの違いは、許すことができたかできなかっただけなのではないか。