『王妃の離婚』 結婚は女にとって幸か不幸か
内容
舞台は15世紀フランス。
時の王、ルイ12世は王妃ジャンヌに対して、離婚を申し立て、裁判を起こした。
主人公は、激しい気質の持ち主の中年弁護士フランソワ。(男。私は女名だと勘違いして最初混乱した)
フランソワは裁判を野次馬してたが、離婚裁判があまりにもグダグダっぷりにキレて窮地の王妃のために弁護人を引き受けることになった。
自分がなぜこの本を読もうと思ったか
10年以上前に、同作者の「ジャンヌダルク暗殺」を読んで面白かった。
ブックオフでこの本を見かけて購入。
中世ヨーロッパの雰囲気も好きなので。
ネタバレなし感想
教養があまりないので、15世紀フランスの世界観に慣れるまで大変でしたが、現代ものとは違い新鮮に読むことができた。
キリスト教が人々の生活までしみ込んでいる感じ。
個人的には、小説冒頭で主人公のフランソワ(学生時代)がベリンダという女性と同棲しているけども、この時代にも同棲って出来たんだと、意外に思った。
さて、この小説から私は「結婚とは何か」を感じ取った。
王妃ジャンヌは、彼女の父の暴君ルイ11世が亡くなった後、厄介払いという形で夫のルイ12世に離婚を言い渡された。
それに対し、ジャンヌは徹底抗戦の構えを見せる。
なぜ、そこまで結婚にしがみつくのか。
それは後半に判明するのだが、うん、分かる。分かる。
主に王妃ジャンヌ、そして過去結婚をしようと誓った女がいた主人公フランソワを通し、結婚とは、男女のありかたとは、を描いているこの小説。
現在日本とは違う舞台であり、結婚制度も違う時代ではあるが、ジャンヌ、フランソワの思う結婚については共感や考えさせることが大いにあった。
結婚について、作中で語られたことで印象的だったことを紹介。
「結婚は真実の愛はない。全てが要求・強制されるだけ。虚飾に満ちている。反対に結婚の外にあれば、全ては無償。結婚の呪縛から逃れた時、女は自由に男を愛する。」
ううむ、一理あるような。
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ネタバレあり感想
王妃の旦那、ルイ12世がクソ男すぎて、フランソワの思っていることと同じく「早く別れろ」と思ってた。
けれども王妃は結婚にしがみつくのはなんでだろう?と思っていたが、「愛し合った事実をなかったことにされる」ことが悔しいと明かされ納得。
結局、王妃は離婚を受けいれたが、王に屈したわけではなく、王を見限った形になった。
結婚を継続させること幸せなのか、そうでないのか。
それは相手と、どのように過ごすかが大きいのではないかなと思った。
暴君の手下によって、男性器をなくした主人公フランソワ。
最後にそれが明かされるのだけど、衝撃的だった。
いやに暴君やその手下に対し怒っていると思ったが、そりゃ怒るわ。
最後、かつて愛した女との間に出来た子と再会し、救われて、本当によかった。
キリスト教の文化についても興味が出てきた。
結婚の解釈(セックスしたかどうか、近親にすごく厳しい)や、男女に対しての解釈など、もっと詳しく知りたいと思った。
どうでもいい感想
女性の描写がとってもエロさを感じるね。 よい。
オーエンはめんどい奴→いいやつだな~→わーーーん死んだ→え、おまえがフランソワのちんちん潰したのか… と評価が二転三転するやつであった。
まとめ
馴染みのない15世紀フランスを舞台にしたお話だったので、新鮮な気持ちで読めたし、キリスト教文化に興味が出てきた。
結婚・男女の愛については、逆に時代は関係なく、共感することができた。