”自分の”読書感想文

既婚子持ちのIT系OLの本の感想ブログ。自分が感じたことを正直に書く、自分にしか書けない自分の読書感想文。

『その女アレックス』かわいそうでならない

 

 

その女アレックス (文春文庫)

その女アレックス (文春文庫)

 

 

内容

舞台はパリ。
突然男に誘拐監禁された女性アレックス。
その事件を調査する刑事であり、誘拐事件で妻を亡くした男カミーユ
二人の視点で物語は進む。
序盤は監禁事件ものの小説と思いきや、徐々に明かされていくアレックスの秘密によって、物語はとんでもない結末を迎える。
 
自分がなぜこの本を読もうと思ったか
大逆転とかどんでん返しに弱いんです。
あと、陰鬱そうな話が読みたかったんです。
あとあと、外国人作家さんの本はあまり読んだことなかったのでこの機会に読んでみようかと。
 
ネタバレなし感想
描写がけっこうえぐい。
監禁されたアレックス視点では特にえぐい。
監禁中の排泄についてちゃんと描いてある。
凄惨なシーンもあり、胸糞悪いところもあるので、苦手な人にはオススメできないかな。
 
パリを舞台にしているためか、私があまり外国舞台の小説を読んでないためか、風景や人物描写が新鮮だった。
 
物語の展開は驚くことが多々あり。
アレックスの秘密が明かされては驚き、あれやこれやがあって驚く。
私は展開や結末の予想はしていなかったので、驚きの連続を楽しんでいました。
 
凄惨な内容ではありますが、謎がすっきりと解けて読後感はよかったです。
 
続きでネタバレあり感想。
 
 
 
 
 
ネタバレあり感想
アレックスさん、殺人鬼やった。
けど、私がアレックスさんのことをかわいそうと思った。
かわいそうへ至るには紆余曲折ありました。
 
アレックス監禁される←かわいそう
アレックス監禁中にネズミと戦う ← お、おう
アレックス脱出後人を殺し回る←うわぁ
アレックス逃亡を図る←がんばれ
アレックス自殺する←えっ
最後アレックスの過去が明かされる ←かわいそう
 
かわいそうから始まり、かわいそうに終わる。
 
アレックスさんが無差別に人殺しをしていたと中盤までは思うが、それは復讐のためだった。
アレックスの殺し方は、対象を動けなくしてから、喉に硫酸を流し込む(しかも口を開けさせるためにハンマーで歯を折る)という残酷なものだけど、それも復讐として意味のあるもの。
 
アレックスがただのシリアルキラーではなく、過去に兄トマから性的虐待を受け、兄によって売春をさせられ(売春相手が今回の被害者)、あげく硫酸を性器に流された上での復讐となるとかわいそうでならない。
 
殺人自体を肯定するつもりはないけれど、普通に生きることができなかったアレックスという女性はかわいそうでならない。
 
 
中盤までは、「監禁された被害者は実はシリアルキラーでした!ほうら、殺し方がびっくりでしょー」って話かな、これだけで終わったらあんまり面白くないなぁと思ってた。
そうじゃなくて、最後まで謎があり、それがどんどん解かれていって面白かった。
 
警察の皆様も個性的な面々で魅力的。
もう一人の主人公でもあるカミーユが、今回の事件を通して、過去に折り合いをつけていけてよかった。
同僚刑事のルイはイケメンで普通に好き。
同じく同僚のアルマンの貧乏性キャラは、他の作品であまり見たことのないキャラ設定で楽しかった。
次なにをパクっていくのか、楽しみにしてた。この作品の癒し。
 
最後気になった箇所。
実際、アレックスは兄トマに殺されたわけだけど、アレックス視点ではラリった上で自殺となっている。これって、兄のことを無意識にかばっているのか、それとも本当にラリってしまっていたのだろうか。
 
まとめ
トマ、死ね。
 
追記
これを書いた後、他の人の感想を読んでトマに殺されたわけではなく、トマは冤罪となったと知った。
へへへ、読解力のなさが露呈。
 
そうなると、警察がトマつかまえたのはちょっともんやりするね。