『西の魔女が死んだ』 あたたかい死のお話
内容
不登校の少女まいが、西の魔女ことおばあちゃんと、自然の中で一ヶ月ぐらい過ごすお話。
魔女は喜びも、希望も幸せも自分で決める…。
まいは魔女から魔女の手ほどきを受ける。
自分がなぜこの本を読もうと思ったか
前に読んでた本の幾つかが人がよく死ぬし、人の闇を書いたものだったので、殺人事件のない優しいお話が読みたかった。
有名だし、本薄いし、気軽によめそう、と思い購入。
ネタバレなし感想
やさしいあったかい世界。
思春期の女の子の繊細な気持ち。
丁寧にそれらが綴られていて、読んでいて幸せになれる。
学校に行きたくないと思うまいの気持ちは、昔の自分もそう思ってたことあるなぁ、と思い懐かしいやら恥ずかしいやら。
思春期の時に読んだらまた違った印象を受けたかも。
タイトルから分かるように、このお話は死のことについても語られている。
けども、読んだ後は悲しさよりも、やはりあたたかさや、やさしさを感じた。
そんな気持ちになりたい人にオススメ。
巻末の解説は超蛇足…。
続きでネタバレあり感想
ネタバレあり感想
おばあちゃんとまいが寝ながら死の話をするのが印象的だった。
死ぬ、ということはずっと体に縛られていた魂が、体から離れて自由になること。
魂は体を持つことによってしか、物事を体験できないし、体験によってしか、魂は成長できない。
体があることで幸せを感じることができる。
おばあちゃんが語った死についての要約が上記。
この考え方がすごくストンと自分の中で落ちてきた。
死に対しても、生に対してもすごく前向きなのがよかったのかも。
最後、おばあちゃんがまいに宛てたメッセージ
オバアチャン ノ タマシイ ダッシュツ ダイセイコウ
このメッセージと、前述のおばあちゃんの言葉で、死は悲しいだけじゃなかったことと、おばあちゃんからまいへの愛が感じられて、ほんとうに幸せな気持ちで読み終わった。
余談1
最後のセリフがページをめくらないと出てこないところがニクイぜ。
イニシエーションラブや、十角館の殺人でも同様の演出があって、いいなあと思った。
余談2
ゲンジさんはたけのこ泥棒なのか。
なんだかんだでいい人ポジションだとは思うけど、まいちゃんが嫌う理由は大いに分かる。
余談3
最後の解説では萎えた。
化学物質が悪、って主張は飽き飽きです。
この話、現代社会批判、自然賛美が主題じゃないのに、解説の主張がそれなので違和感。
余談4
銀竜草は思いの外ぐろい
こちらのサイトの画像を使わせてもらいました。
まとめ
やさしくて愛に溢れた死のお話は、幸せな気持ちをくれた。